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臓器ごとに起因菌が決まるから抗菌薬を選べる |
研修までに覚えたい常識
- その菌がグラム?性?菌と言える
- 抗菌薬は一般名から系統名が想起できる
- (※研修医は商品名から一般名が想起できる)
- その臓器に感染を起こす菌が言える
- その臓器に使用する抗菌薬が言える
臓器⇒起因菌⇒抗菌薬
何でもない問題ですが、抗菌薬使用の基本をついた問題です。抗菌薬を選択する際は、必ず起因菌の想定が必要になります。そして起因菌はある程度、感染臓器によって絞られることがわかっています。逆を言えば、感染臓器がわかり、起因菌を想定することができれば、経験的に抗菌薬は選択できるということです。上記の問題でいうと、蜂窩織炎は皮膚・軟部組織感染症であり、皮膚感染では黄色ブドウ球菌とA群溶血性連鎖球菌が想定できますから、その菌をカバーできる第一世代セフェム系のセファゾリンが選択できます。
学生の時は、①起因菌の分類、②抗菌薬の分類、③臓器別起因菌に対する抗菌薬を覚えておけば、国試で役立つことは勿論、研修医になった時もスムーズに抗菌薬のより詳しい勉強ができると思います。
これから抗菌薬の基本をお伝えしていきます。
①起因菌の分類「グラム?性?菌」
抗菌薬は細菌に対して使用しますので、まずは細菌の名前を覚えましょう。その際は、「グラム染色で見える菌」と、「見えない菌」、そして「嫌気性菌」に大きく3分類すると覚えやすいです。※尚、菌は学名も覚えましょう。国試でも学名だけで出題されることもあります(例:108I31)し、研修医になれば細菌検査室の結果は学名で返ってきますからね。全部で約40種ですか。英単語を1万語近く覚えてきた僕たちにとってはどうってことない暗記数ですよね(笑)
細菌はグラム染色結果と嫌気性で分類 |
グラム染色でみえる菌
グラム染色は感染症診療における基本ですね。グラム染色の結果は陽性or陰性、球菌or桿菌の2×2表に分類されます。臨床的に問題になる菌が多いのは、グラム陽性球菌とグラム陰性桿菌です。グラム陽性球菌
グラム陽性球菌は連鎖球菌、ブドウ球菌、腸球菌の3つに分けて覚えましょう。グラム陰性桿菌
「腸内細菌科」と「院内感染で問題になる菌」と「その他」の3つに分けて覚えましょう。腸内細菌科では尿路感染の3大起因菌の頭文字をとったPEKや、院内感染菌では、その頭文字をとったSPACEなどが、マッチング試験で問われるかもしれませんね。グラム染色で見えない菌
Mycoplasma、Chlamydia、Legionellaといった非定型肺炎の起因菌もここに含まれますね。嫌気性菌
嫌気性菌は横隔膜の上下で常在菌を区別するとわかり易いです。②抗菌薬の分類
さあ、いよいよ抗菌薬の登場です。以下に抗菌薬の一覧表を示します。学生の時は一般名から系統名を想起できるようにしておけば十分です。そして、研修医になってから商品名も覚えましょう。ひたすら暗記です。国試までに系統名と一般名を覚えよう |
各抗菌薬についてのスペクトラム(どの菌に対して感受性があるか)は「ひとこと!抗菌薬スペクトラム」(コチラ)で簡単に記します。まあ、学生のうちは臓器別の起因菌に対応した抗菌薬を覚えておけばよいと思います。
③臓器別起因菌に対する抗菌薬
臓器によって感染を起こす菌はある程度決まっています。また起因菌によって選択される抗菌薬も、そのスペクトラムからある程度決まっています。したがって、感染臓器によって選択される抗菌薬は絞られるということです。下の表では、市中感染症における臓器別の起因菌と選択される経験的抗菌薬の一例を挙げました。国試を解いていると臓器ごとの感染症を各論的に勉強しがちです。以下の表を参考にすることで、全身の感染症を俯瞰することができるのではないでしょうか。
市中感染症の臓器別起因菌と抗菌薬例 |
以上、①起因菌の分類、②抗菌薬の分類、③臓器別起因菌に対する抗菌薬についてお話ししました。かなり暗記事項が多いですが、この3つさえ覚えれば、抗菌薬に対する苦手意識は薄くなってくると思います。
是非、この記事で登場した3つの表は印刷していただいて、普段の国試勉強に役立ててください。
参考文献
レジデントのために感染症診療マニュアル
P10-15感染症プラチナマニュアル
p115-208
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