2017年3月29日水曜日

【動画あり】熱血!静脈採血塾

110H10

静脈採血の手順に関する問題

研修までに覚えたい常識

  • 静脈採血の手順
  • 静脈採血のコツ
  • 静脈採血の練習法


静脈採血は基本中の基本手技

静脈採血手技は基本中の基本手技ですから国試でも出題されますね。採血手技がうまくいかないと、鑑別診断が進まなかったり、患者さんの状態評価ができなかったりと、診療がその段階で止まってしまいます。

学生時代からどんどん挑戦しておくと、研修医になって慌てませんよ。

同期の協力のおかげで採血動画を作成できましたので、これを見てまずはイメージトレーニングをしてみてください。(※因みに「末梢静脈路確保」の動画もあります。)


ここから下では、静脈採血手技について、準備、手順、コツ、練習に分けてお話しします。特に練習法は、かなり体育会系に熱く語っています。最後までお読みください。

準備

しっかりと物を揃えてから患者さんのところへ行きましょう。いざ採血しようとして器具が足りないと、焦ってしまいますし、患者さんの不安も煽ってしまいますからね。特に廃棄ボトルは忘れやすいです。
採血前に必要器具を準備しよう

  • 手袋
  • 採血枕
  • 駆血帯
  • アルコール綿
  • 翼状針(21~23G)
  • 真空管
  • 採血管
  • 廃棄用ボトル
  • テープ

針の種類は翼状針と直針、留置針、採血方法は真空管とシリンジがありますが、初心者は翼状針+真空管の組み合わせが一番簡単だと思います。
採血初心者は翼状針+真空管がオススメです

翼状針は逆血が見えやすく、また固定しやすいというメリットがあり、真空管は分注の必要がないというメリットがあります。

針の太さは22Gを基本として、血管が細そうな人は23Gを用いましょう。

静脈採血の手順

1.採血環境を整えよう

  • 採血台を心臓の高さより低く設定しよう
  • 採血枕を用いよう

2.清潔操作を心掛けよう

  • 手指消毒をしよう
  • 手袋を装着しよう

3.穿刺部位を探そう

肘正中皮静脈が第一選択です
矢印の先が肘正中皮静脈です
  • 採血部位の中枢に駆血帯を巻き血管を怒張させよう
  • 見て盛上がっている、触って弾力のある血管を探そう

4.消毒しよう

  • アルコール綿で末梢から中枢に向かい消毒しよう

5.穿刺しよう

  • 血管固定のために採血部位より抹消の皮膚を軽く引張ろう
  • 血管は表面付近にあるので角度をつけず穿刺しよう(15度)
  • ※切り口(ベベル)は上に向けよう

6.逆血を確認しよう

  • 留置針のチューブ内まで逆流する血液を確認しよう

7.血液採取しよう

  • 翼状部を上から抑えて固定しよう
  • 真空管に採血管を挿入しよう
  • ※採血管内は陰圧なので自動的に血液が充満する
  • 採血管を抜こう

8.駆血帯を外そう

9.針を抜こう

  • アルコール綿を刺入部に当てながら針を抜こう
抜針と同時に針が収納固定されるタイプだと安全
  • 廃棄ボックスに針を捨てよう
  • アルコール綿で圧迫し、テープを張ろう

 コツは血管怒張

コツは静脈をいかに怒張させるかです。末梢血流を増やし、静脈血をうっ滞させる方法を紹介します。

  • 拳を握ってもらう
  • 軽くたたく
  • 腕を下げてから駆血帯を巻く
  • 末梢から中枢へ消毒
  • 駆血帯を巻き直す
  • 蒸しタオルで温める
  • ※うまくいかないときは反対の腕で挑戦しよう
  • ※それでもだめなら、先輩を呼ぼう


熱血!採血練習

実際に患者さんを前にして成功の鍵を握るのは、絶対うまくいくという自信だと思います。その自信をつけるためにはやはり、練習あるのみではないでしょうか。

手に馴染ませよう

バッドの握り方がわからなければ、バッドを振ることすらままならないですよね。まずはしっくりくる針の握り方を確認しましょう。

「素刺し」をしよう

バッドの振り方がわからなければ、ボールは打てませんよね。「素振り」ならぬ「素刺し」をして型を確認しましょう。

手順を繰り返そう

身近な物を使って、実際の手順を繰り返してみましょう。僕はぬいぐるみを人体に見立て、紐を血管として代用し、ティッシュを皮膚として被せて練習していました(笑)
紐や駆血帯を血管に見立てて練習
ティッシュを皮膚に見立てて練習

本当は血管はゴム製の駆血帯で代用するのがベストです。切れて使い物にならなくなった駆血帯をもらってきましょう。紐の場合は紙袋についているものが刺しやすいと思います。

ファーストステップは紐に刺す練習からはじめて、ネクストステップは紐にティッシュを被せて、そのうえから刺す練習をしましょう。
翼状針を駆血帯に刺す練習
ティッシュの上から駆血帯に刺す練習

行きかう人の腕を見て探す

普段から周りの人の血管を見るクセをつけましょう。すると、出会った瞬間に採血が難しいかどうかの判断ができ、心構えができます。

自分の腕を触って探す

人が違っても血管の走行はある程度似ています。自分の血管の走行を確認したり、刺しやすそうな血管の弾力を触って確かめておきましょう。

どうでしょうか、これで「熱血!静脈採血塾」は終わります。今度は、末梢静脈路確保の記事を書きますので、そちらもご覧ください。

参考文献

診察と手技がみえる vol.2

p2-17
「○○がみえる」シリーズで唯一読んだ本。写真が多くて視覚的にイメージしやすくなっています。手技の本は一冊あるととっさに調べられて便利です。

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2017年3月27日月曜日

ひとこと!抗菌薬スペクトラム

抗菌薬ことはじめ(コチラ)の補足として、各抗菌薬について、そのスペクトラムを簡単に記します。研修医になりましたら、感染症プラチナマニュアル等で詳しく勉強してください。

天然ペニシリン:ペニシリンG


  • 連鎖球菌、腸球菌
  • 髄膜炎菌の第一選択
  • 横隔膜より上の嫌気性菌
  • 梅毒

アミノペニシリン:アンピシリン、アモキシシリン


※アンピシリン経口薬は消化管吸収が悪いので、経口薬はアモキシシリンで
  • 天然ペニシリンのスペクトラムに加え
  • 腸球菌の第一選択
  • リステリア


アミノペニシリン/βラクタマーゼ合剤:アンピシリン/スルバクタム、アモキシシリン/クラブラン酸


  • アミノペニシリンのスペクトラムに加え
  • 黄色ブドウ球菌
  • 大腸菌などの腸内細菌科
  • 横隔膜より下の嫌気性菌

抗緑膿菌ペニシリン:ピペラシリン


  • 緑膿菌やSPACE

セフェム系の概要


  • ペニシリンと違い黄色ブドウ球菌に活性あり
  • グラム陰性桿菌に広く活性あり
  • 腸球菌、リステリアには第4世代まで全て無効
  • 第3、4世代は中枢神経系の移行性あり

第1世代セフェム:セファゾリン、セファレキシン


  • 黄色ブドウ球菌の第一選択、連鎖球菌
  • PEK

第2世代セフェム:セファチアム

第1世代と第3世代の間で中途半端なスペクトラムとなり、ほとんど使用しません。

抗嫌気性第2世代セフェム:セフメタゾール

  • 特に、横隔膜下の嫌気性菌
※所謂、セファマイシン系です。

第3世代セフェム:セフトリアキソン

※再使用頻度の抗菌薬です。

  • 第1世代セフェムのスペクトラムに加え
  • SPACE以外の多くのグラム陰性桿菌

抗緑膿菌第3世代セフェム:セフタジディム


  • SPACE

※グラム陽性球菌はカバーしません

第4世代セフェム:セフェピム

セフトリアキソン+セフタジディムと理解しておきましょう。

モノバクタム系:アズトレオナム


  • セフタジディムと同様

※ペニシリン系、セフェム系に過敏反応の患者にも使用できます。

カルバペネム系:メロペネム

※原則「全部効く」ので効かない菌を覚えましょう。乱用は多剤耐性緑膿菌発生のリスクとなります。

「効かない菌」

  • MRSA(βラクタム阻害薬が無効な黄色ブドウ球菌)
  • VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)
  • Mycoplasma、Chlamydia、Legionella


グリコペプチド系:バンコマイシン

※抗MRSA薬です。

  • グラム陽性菌なら何でも

抗VRE薬:リネゾリド


  • MRSA、VRE

アミノグリコシド系:ゲンタマイシン

単剤使用は少ないです。

ニューキノロン系:シプロフロキサシン、レボフロキサシン


  • Mycoplasma、Chlamydia、Legionella
  • 第二世代のシプロフロキサシンは主にグラム陰性桿菌
  • 第三世代のレボフロキサシンは、肺炎球菌もカバー。「レスピラトリーキノロン」たる所以です。

※緑膿菌をカバーできる唯一の経口薬です。
※抗結核作用があるので結核の診断を遅らせる危険があります。

マクロライド系:アジスロマイシン


  • Mycoplasma、Chlamydia、Legionella

テトラサイクリン系:ミノサイクリン、ドキシサイクリン


  • Rickettsia、Mycoplasma、Chlamydia

※8歳以下で歯の色素沈着のリスクです。

リンコマイシン系:クリンダマイシン


  • 黄色ブドウ球菌、連鎖球菌
  • 嫌気性菌

メトロニダゾール


  • Clostridium difficileを含む嫌気性菌

ST合剤:スルファメトキサゾール / トリフメトプリム


  • ブドウ球菌、連鎖球菌
  • Esherichia coli、Klebsiella
  • ニューモシスチス


参考文献

感染症プラチナマニュアル

p5-60

抗菌薬のスペクトラム、起因菌の分類、臓器別の感染症診療がポケットサイズにまとめられた一冊。これさえあれば抗菌薬選択には困りません。毎年更新されています。

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2017年3月25日土曜日

抗菌薬ことはじめ

107D11

臓器ごとに起因菌が決まるから抗菌薬を選べる

研修までに覚えたい常識

  • その菌がグラム?性?菌と言える
  • 抗菌薬は一般名から系統名が想起できる
  • (※研修医は商品名から一般名が想起できる)
  • その臓器に感染を起こす菌が言える
  • その臓器に使用する抗菌薬が言える

臓器⇒起因菌⇒抗菌薬

何でもない問題ですが、抗菌薬使用の基本をついた問題です。抗菌薬を選択する際は、必ず起因菌の想定が必要になります。そして起因菌はある程度、感染臓器によって絞られることがわかっています。逆を言えば、感染臓器がわかり、起因菌を想定することができれば、経験的に抗菌薬は選択できるということです。

上記の問題でいうと、蜂窩織炎は皮膚・軟部組織感染症であり、皮膚感染では黄色ブドウ球菌とA群溶血性連鎖球菌が想定できますから、その菌をカバーできる第一世代セフェム系のセファゾリンが選択できます。

学生の時は、①起因菌の分類、②抗菌薬の分類、③臓器別起因菌に対する抗菌薬を覚えておけば、国試で役立つことは勿論、研修医になった時もスムーズに抗菌薬のより詳しい勉強ができると思います。

これから抗菌薬の基本をお伝えしていきます。

①起因菌の分類「グラム?性?菌」

抗菌薬は細菌に対して使用しますので、まずは細菌の名前を覚えましょう。その際は、「グラム染色で見える菌」と、「見えない菌」、そして「嫌気性菌」に大きく3分類すると覚えやすいです。

※尚、菌は学名も覚えましょう。国試でも学名だけで出題されることもあります(例:108I31)し、研修医になれば細菌検査室の結果は学名で返ってきますからね。全部で約40種ですか。英単語を1万語近く覚えてきた僕たちにとってはどうってことない暗記数ですよね(笑)

細菌はグラム染色結果と嫌気性で分類

グラム染色でみえる菌

グラム染色は感染症診療における基本ですね。グラム染色の結果は陽性or陰性、球菌or桿菌の2×2表に分類されます。臨床的に問題になる菌が多いのは、グラム陽性球菌とグラム陰性桿菌です。

グラム陽性球菌

グラム陽性球菌は連鎖球菌、ブドウ球菌、腸球菌の3つに分けて覚えましょう。

グラム陰性桿菌

「腸内細菌科」と「院内感染で問題になる菌」と「その他」の3つに分けて覚えましょう。腸内細菌科では尿路感染の3大起因菌の頭文字をとったPEKや、院内感染菌では、その頭文字をとったSPACEなどが、マッチング試験で問われるかもしれませんね。

グラム染色で見えない菌

Mycoplasma、Chlamydia、Legionellaといった非定型肺炎の起因菌もここに含まれますね。

嫌気性菌

嫌気性菌は横隔膜の上下で常在菌を区別するとわかり易いです。

②抗菌薬の分類

さあ、いよいよ抗菌薬の登場です。以下に抗菌薬の一覧表を示します。学生の時は一般名から系統名を想起できるようにしておけば十分です。そして、研修医になってから商品名も覚えましょう。ひたすら暗記です。

国試までに系統名と一般名を覚えよう


各抗菌薬についてのスペクトラム(どの菌に対して感受性があるか)は「ひとこと!抗菌薬スペクトラム」(コチラ)で簡単に記します。まあ、学生のうちは臓器別の起因菌に対応した抗菌薬を覚えておけばよいと思います。

③臓器別起因菌に対する抗菌薬

臓器によって感染を起こす菌はある程度決まっています。また起因菌によって選択される抗菌薬も、そのスペクトラムからある程度決まっています。したがって、感染臓器によって選択される抗菌薬は絞られるということです。

下の表では、市中感染症における臓器別の起因菌と選択される経験的抗菌薬の一例を挙げました。国試を解いていると臓器ごとの感染症を各論的に勉強しがちです。以下の表を参考にすることで、全身の感染症を俯瞰することができるのではないでしょうか。

市中感染症の臓器別起因菌と抗菌薬例

以上、①起因菌の分類、②抗菌薬の分類、③臓器別起因菌に対する抗菌薬についてお話ししました。かなり暗記事項が多いですが、この3つさえ覚えれば、抗菌薬に対する苦手意識は薄くなってくると思います。

是非、この記事で登場した3つの表は印刷していただいて、普段の国試勉強に役立ててください。

参考文献

レジデントのために感染症診療マニュアル

P10-15
熱・白血球・CRPから解放される一冊。第1章 感染症診療の基本原則だけでも読むと、感染症に関する勉強指針が立つと思います。

感染症プラチナマニュアル

p115-208

抗菌薬のスペクトラム、起因菌の分類、臓器別の感染症診療がポケットサイズにまとめられた一冊。これさえあれば抗菌薬選択には困りません。毎年更新されています。

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2017年3月18日土曜日

輸液はNa濃度から考えよう

110B5


正答率50%の問題です。

研修までに覚えたい常識

  • 輸液はNa濃度から考える
  • 1日に最低限必要な成分
  • Na 1g=17mEq

 

輸液の前に体液生理

そもそも輸液とは、極端な話「水に併せてNaを細胞外液に入れる」ことだと思います。輸液を理解するためにはまず体液生理から考えていきましょう。

細胞外液と細胞内液

人間の体の60%は水で構成されており、その1/3は細胞外液、その2/3は細胞内液です。細胞外液と細胞内液は細胞膜によって仕切られています。

水分の1/3は細胞外液、2/3は細胞内液
 

張度tonisity

細胞外液にはNa(とそれに対応する陰イオン)とブドウ糖が限局し、細胞内液にはK(とそれに対応する陰イオン)が限局しており、両者の浸透圧によって水を引っ張り合って平衡状態を保っています。そして、水の引っ張り合いに関係する溶質たちの浸透圧を張度tonisityと言います。

Na・ブドウ糖とKが水を引っ張り合う

等張液負荷

例えば、細胞外液に生理食塩水(0.9%食塩水)を入れた時、どうなるでしょうか。生理食塩水の「生理」とは張度を細胞外液に等しくしたものです。すなわち、生理食塩水は細胞外液にとって「等張液」ですから、細胞外液と細胞内液の張度のバランスは崩れず、水の移動は起りません。


等張液を負荷しても水の移動は起らない

高張液負荷

では、細胞外液に3%食塩水を入れた時はどうなるでしょうか。3%食塩水は細胞外液にとって「高張液」ですから、細胞外液がその分、高張になります。


3%食塩水負荷で細胞外液が高張になる

すると、崩れた張度バランスを補正しようと、水が細胞内から細胞外に移動します。


高張な細胞外液に水が移動する

低張液負荷

では、真水を入れた時はどうなりますか。

真水を入れると細胞外液は低張となる

上記の反対ですね。細胞外液が低張になって、それを補正しようと、水が細胞内に移動します。

相対的に高張な細胞内液に水が移動する

このように、輸液中のNa濃度を変えることで行き渡らせる体液分画を調節することができます。

輸液製剤の種類

では、輸液製剤の種類を見てみましょう。生理食塩水(のNa)を真水でどれだけ薄めたかで4つに大別されます。
輸液は生食と真水の割合で4種に大別

特に臨床で大事なのは生理食塩水と維持液です。


生理食塩水

等張液である生理食塩水は細胞外液を補充したいときに用います。簡単に言えば、ショックやショックになりうる病態に使用します。だから救急現場で多用されます。

※生理食塩水のNa濃度(154mEq/L)が血清Na濃度(140mEq/L)より高いのは、血液中のNa以外の電解質をすべてNaClで置き換えて等張にしているためです。


 維持液

生理食塩水 : 真水=1 : 3でカクテルした輸液が維持液です(別名:3号液)。維持液は完全禁食状態で2Lを投与すれば最低限必要な水分・電解質を補充できるように作られています。

1日に最低限必要な成分

では1日に最低限必要な水と電解質はどのくらいでしょうか。だいたい以下の通りです。

1日に最低限必要な成分

となると、維持液1L当たりの組成は下のようになっているはずですね。

1L当たりの最低限必要な成分

はい、漸く110B5の答えですが、上記の成分に当てはまるのは選択肢Dですね。 維持液は絶食が必要な患者さんに用いますから、病棟でよく使いますね。

Na 1g=17mEq

どうですか、少しは輸液が身近になったでしょうか。最後となりますが、gとmEqの換算は絶対に覚えましょう。Na 1g=17mEqです。

例えば3g/日の塩分制限がされている患者さんに生食1000ml点滴するとどうなりますか。生食1000mlには154mEqのNaが入っているので、約9gの食塩を投与していることになります、つまりこの患者さんにとっての3日分です!

gとmEqの換算を覚えておけば、目の前の患者さんにNaをどれだけ負荷できるかが見えてきます。

そういえば、Na 1g=17mEqの換算は111回の国試に登場したと聞きましたよ。

病棟実習の時に患者さんの輸液内容をみて、「食塩に換算すると何gですね」と言えたら、格好良くないですか。

今日はこの辺で、またお会いしましょう。

参考文献

輸液を学ぶ人のために

p1-23



初版は1981年ですが未だに朽ちることはありません。著者と看護師との対話を通して、輸液の基礎が誰でもわかりやすいように記述されています。

Dr. 須藤の酸塩基平衡と水・電解質

p1-27



文系出身である僕が、初めて浸透圧と張度の違いを理解できた一冊。図が多く掲載されており、視覚的にも理解しやすくなっています。

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2017年3月15日水曜日

意識障害はまず低血糖を否定

102C22


研修までに覚えたい常識

  •  意識障害はまず低血糖を否定する
  •  意識障害の鑑別:AIUEOTIPS

意識障害はまず低血糖を否定

102C22は「意識障害」へのアプローチを問題としていますね。意識障害を来す病態は様々ありますが、最初にすることと言えば、「低血糖の否定」です。

なぜなら、もし低血糖による意識障害ならば50%ブドウ糖2アンプルを静脈注射すれば速やかに解決してしまうからです。
50%ブドウ糖1A=10g/20ml

緊急度が高くすぐに治療できる疾患から除外する方法論は救急現場の常識であり、研修医ならば選択肢をみる前から「血糖」測定が答えとわかります。

意識障害をみたらその場で簡易血糖測定器でチェックしましょう。使い方のわからない人は下のリンクから確認しておきましょう。
アークレイ血糖自己測定器関連情報サイト:http://www.arkray.co.jp/smbg/g-black/how.html#tab

次に低酸素、ショック、頭蓋内出血を否定

 実際の「意識障害」のアプローチとしては低血糖の他にすぐに除外できる病態として、低酸素、ショック、頭蓋内出血が挙がります。

それらが否定されたら、AIUEOTIPSでじっくり鑑別を行いましょう。
まずI、次にOとSを除外しよう
低血糖など、まず除外すべき病態を意味づけしておくと、味気ない暗記事項も味わい深いものになりませんか。

因みに、参考文献で紹介する林寛之先生は一年目の研修医にAIUEOTIPSを20秒以内で言えるように指導しているようですよ。

病棟実習でAIUEOTIPSがさっと言えたら、格好がいいと思いませんか?

今日はこの辺で、また会いましょう。
 

参考文献

ステップビヨンドレジデント 2 救急で必ず出合う疾患編

p77‐80


救急でよく出会う症候へのアプローチが軽快なタッチで、多数のエビデンスと共に掲載されています。ドクターGに出演した先輩も「3年目になって読み返しても新しい発見がある」と絶賛。

東京 ER 多摩総合マニュアル

p7


多摩総合医療センターのERを立ち上げた樫山鉄矢先生の著書。症候別、疾患別に内容が簡潔的にまとめられています。それもさることながら人間的にも素晴らしい方なんですよ。


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